〜美味しさの秘訣は基本 の巻〜
今回作成するのは、漫画繕い裁つ人に登場するチーズケーキ。
繕い裁つ人は、南洋裁店という小さな仕立て屋さんが舞台のおはなし。
二代目店主の市江さんは、一代目の祖母が作った服の仕立て直しとサイズ直しが主なお仕事。
あとは、控えめに新作を出す程度。
彼女自身のデザインも非常に人気があり、お店に出せば即日完売。
すべて一点ものなので、流通はほとんどしていません。
卸しているお店は先代からの付き合いの一店だけ。
彼女の才能に目をつけたデパートの企画担当、藤井さん。
南の服をブランド化しないかと、何度断られてもめげずにお店に訪れます。
「二代目の仕事は一代目の仕事を全うする事だと思ってる」
そんな頑固な市江さん。
その潔さが南の良さを守っていることは間違いではありませんが、彼女は変化を恐れているのではないか、と考える藤井さん。
藤井さんの目的であるブランド化はなかなか難しいのですが、この出会いによって市江さんの心に変化が生まれます。
流行りものが錯綜する昨今では、仕立屋やオーダーメイドというのは存在自体が珍しいですね。
職人ってなんだろう。仕事で守るべきものはなんだろう?
そんな疑問が生まれては、溶けていく。
一話一話がとても静かで、凛としていて、素敵な服を着た時のような充実感が残る作品です。
さて、今回のチーズケーキは1巻の巻末に番外編として収録されている「尚尚書」より。
市江さんがお友達の芳乃さんに会いに、芳乃さんの喫茶店でチーズケーキを口に運びながら待つシーンからです。
焼き色のないシンプルなケーキは、おそらくレアチーズケーキ。
たっぷりのチーズフィリングと、底のわずかなボトムの比率が美しいです。
大きめの一口を切り分け、口に運ぶ市江さん。
食べてすぐの「ほぅ」という言葉がついた、ほころんだ顔。
甘いものを食べた時ならではの幸せを、市江さんの表情が語っています。
お友達の芳乃さんは、市江さんのお友達だけあってまた個性的な性格のよう。
頑固でぶっきらぼうな市江さんの顔をほころばせるレアチーズケーキ、それは一体どんな味なのでしょう?
ということで、食べたくなったら急がば回れ。いざ調理スタートです。
【用意するもの】

生クリーム、ビスケット、クリームチーズ、バター、シロップ漬けの洋なし、ゼラチン、レモン汁、粉糖
奇をてらうような材料は避けたいところ。
オーソドックスなレシピは崩さずに、ちょっとだけアクセントにシロップ漬けの洋なしを加えることにしてみました。

ビスケットとバターは底のサクサクとしたボトム用です。
クッキーやビスケット、変わった所では粉チーズなどでも、お好みのもので。
今回は、市江さんをイメージしたいので、マリービスケットをチョイスしました。
昔から変わらない味が愛されて、素朴で、高飛車にならない親しみやすさが理由です。

ビスケットは袋に入れて、細かくなるまで砕きます。

パウダー状〜おがくず状になったらOK。

溶かしたバターを入れて、バターが全体に染みこむようよく混ぜます。

クッキングシートを内側にセットしたケーキ型に、バターを混ぜたビスケットを入れます。
あまり空気が入らないよう、全体のバランスがよくなるよう、フォークの背で強く押して表面をなだらかにします。

あとは、180℃に予熱したオーブンで10分焼けばボトム部分は出来上がり。
焼きあがったボトムは冷ましておきます。
次はチーズケーキの要。フィリング部分を作ります。

ゼラチンは水でふやかしておきます。

シロップ漬けの洋なしは、包丁でペースト状になるまで叩きます。
ほんのりと香るか香らないか程度に洋なしの風味を入れたかったのですが、ここで問題が一つ。
レアチーズケーキといえば、あのなめらかな食感が大事。
例外として、クラッシュしたクッキーやナッツがザクザク入ったものはありますが、今回はレアチーズケーキの「まっしろ」さを大事にしたいのです。
洋なしをいくら頑張って包丁で叩いても、やはり食感の邪魔をするのは予想できます。
見た目に洋なしのツブツブが入ってしまうのもとても残念極まりない。
ではどうするか?
洋なしを入れないとそれはそれで寂しすぎる‥!
次回、「ほかにないまっしろの魅力」の巻に続きます。
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